政治に関わる、政治家、マス・メディアの方、その他ジャーナリスト、出版関係の方、ブロガーの方、市井の皆さんとともに、昨今大変な誤解がまかり通っている「政治の言葉」を救いだし、丁寧にその誤解をといて行こうと思います。政権交代と震災と原発事故と再政権交代と秘密保護・・・そして憲法規範がないがしろにされつつあります。なるべく他者を罵らず静かに政治を語り、記録したいものです。 そして、こんな時代に大学生になってしまった諸君。諸君も大変だが私も大変なのよ。でも世間と違ってキャンパス内は治外法権だから失敗しても問題なし。失敗から学び、「自分の頭でものを考えられる人間」になるため、一緒に頑張りましょう。
2015年9月1日火曜日
「今さら言おう基本のキ・オブ・デモクラシー」〜典型的な物言い:民主政治的センスを止めるロジック〜
ツイッターでちらりとエンカウンターした典型的な物言いです。
ちょっと読むと「その通りだよな」と思える、ヴァリエーションを変えつつ大量に出回っている民主政治(無)理解です。
丁寧に考えれば、全部論破できます。
でもこちら側は荒れた言葉を使わずに「丁寧に」です。
以下↓
光太郎 @koutaro1942
反対派には民意は感じられません!法案は選挙で選ばれた政治家が国民の付託を受けて議会で論じられたもので民意そのものです。賛成派はそれを応援したもの!デモで政治を変えればそれは民意では有りません!テロ行為です。
この「民意そのものです」という部分がジャンプアップです。
かつ「デモで政治を変えればそれは民意ではありません」が、一歩立ち止まって見ると「論理が全くない」です。つまり気持ち。
法が選挙を通じて選ばれた立法府のメンバーによって、ルールに基づいて議決されて成立するとか、その結論が民意であるというのは、「法制度上の原則」であって、それが即イコール民主政治を担保するものではありません。
民主政治は、人々の判断(民意と仮に呼んでも良いが1億人の民意など実態として存在するわけがないので、政治家やメディアが俊秀なる解釈によって言語化すべきもの)を、選挙や、世論調査や、地域での議論や、様々な社会集団における判断や議決や、リコールや、住民投票や、街頭デモや、お茶のみをしながらの隣人への声がけや、そういう「あらゆる手段を通じて行われる個別の人間の価値観に依拠した世界解釈の発露」を通じて、「その場、その時」に注意深く耳を傾けながら決定へと着地させていく「過程」「プロセス」、つまり「一連の人々の考えの連続確認作業」です。
まとめます。民主政治=「時間的に連なる人々の考えの連続確認作業」を前提にしたやりかた。
上記の「典型例」をもう一度丁寧に読んでみてください。
反対派には民意は「感じられない」(「感じ」ですね)のだそうです。
「議会で論じられたもので」とありますが、まともな議論などされていませんね?野党がその筋で質問しても答えませんよね?百歩譲ってもその「論じられたもの」の悲惨なこと。
「論じられたもの」が未だないわけですから、それが「民意そのものである」とは、論理的に言えませんよね?
賛成派は「それ」を応援したそうですが、この指示語の「それ」はまだ存在していませんよね?あるのは信じられないほどできの悪い法「案」だけですよね?
「デモで政治を変えれば」と言いますが、デモだけじゃなくて、いろいろなやり方で毎日政治は「変わって」いますよね?
「それは」民意ではないと言っていますが、「それ」は何?
テロ行為だそうですが、賛成派のデモもテロなのですか?
ツイッターやFBには、この「なんだか細かく考えたことはないが非の打ち所がない正論っぽい感じの言葉とされたもの」のコピペや応用があるだけで、要は「自分が逆の立場になった時に酷いことになるかもしれない」という想像力を動員する気持ちが弱い人たちの悲鳴のように感じます。議論ではありません。蓋を閉めているのです。
民主政治は、時間の制限がありますから、延々と「確認作業」を続けるわけにはいきません。しかし、確認作業の途中で「これは一億人の有権者のうちのほとんどの人に違和感を持たれた法案だな」とわかれば(もうわかっているのですが)、
1、引っ込める
2、大幅に修正する
3、この法案を支えている(実は支えられていない)前提からもう一度丁寧に議論することを呼びかける。
の三つから結論を出すのが民主政治です。
誤解してはいけません。多数決は、この確認作業の「ひとつ」の手法に過ぎません。たくさんの人がカーッとなって誤った判断をしている可能性を前提に民主政治はあるからです。
デモに行く人は多数決を否定しているのではありません。
「あの時の多数と今の多数がズレてるんですけど」と言っているのです。
そう考えると、自公政権と大阪市長のやっていることがいかに民主政治とは無縁であるかがわかるはずです。
以上、「今さら言おう基本のキ」オブ・デモクラシーでした。
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